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25 周年記念 JTF 翻訳祭に行ってきました!

年に一度、日本翻訳連盟(JTF)主催で開催されている翻訳祭に今年も参加しました。
今年の翻訳祭は 25 周年記念ということで、「翻訳だけにとらわれず、さまざまな分野で国際的に活躍されている著名人や外国籍の方々に積極的にご協力を要請いたしました。」とパンフレットにありましたが、確かに例年とは一味違った人選だったと思います。

映画字幕翻訳者の戸田奈津子さんのセッションでは入場前に参加希望者の列ができ、整理券が配られるという翻訳祭ではあまり見かけない光景もありました。
かく言う私もその列に並んだ一人ですが、字幕翻訳者を志したきっかけや字幕翻訳の難しさ、ハリウッド俳優についてなどお話に引き込まれて、あっという間の 90 分でした。
映画「カサブランカ」の有名なセリフ「君の瞳に乾杯」(原文は “Here’s looking at you, kid.”)を例に挙げ、字幕翻訳は emotion に訴えるセリフでなければならない、原文を尊重しつつ日本語として成り立たなければならない、その接点とおっしゃっており、字幕翻訳の難しさを垣間見た気がしました。

翻訳祭は、翻訳会社/翻訳者の話だけでなく、翻訳を依頼するクライアント側の話も聞くことができる貴重な機会となっています。
日本電気株式会社の森素樹さんは、「翻訳者の皆さんに知っていただきたい、多言語ソフトウェア開発側の苦労」という内容でお話をしてくださいました。 その中で、このブログでも以前紹介したローカライズを考慮した文言設計の重要性に関して、これまでの苦労話、工夫した話などの様々な具体例を交え、わかりやすく解説してくださいました。 森さんのお話を興味深く伺いながら、ソフトウェア開発会社のローカライズチームとして、私たちも新しい技術や状況に対してチャレンジを続け、ノウハウを蓄積していかねばと刺激を受けた一日となりました。

また、より広い視野をもって翻訳ビジネスをとらえ直そうというトピックも提供されていました。「翻訳業のイノベーション」「クールジャパン戦略で海外需要を創造する」セッションでは、社会現象を取り入れたイノベーションによる「翻訳業」からの脱却、日本発のコンテンツがもたらす新たなローカライズニーズの可能性など、今後のローカライズ技術やそれを取り巻くビジネスの展望が語られました。私たちも、状況変化の中で自分たちの専門性を発揮し続けるにはどうすれば良いか、改めて考え直すヒントを得られた時間でした。

2015-12-22 09:00  その他

翻訳祭に行ってきました!

以前少し紹介しましたが、2014年11月26日、 JTF 主催で毎年開催されている翻訳祭に今年も参加してきました。
今回も色々なセッションに参加しましたが、私たちは日頃から翻訳の品質チェック方法については、試行錯誤していることもあり、以下のセッションから翻訳品質について印象に残ったことを少し書かせていただきます。

1. 「新翻訳時代を作る品質管理イノベーション
  ~多種多様なニーズ、コンテンツに合わせた翻訳品質基準の設定と品質管理プロセス~」
【講師】 徳田 愛 氏 (株式会社ヒューマンサイエンス)
     本田 秀樹 氏 (株式会社ヒューマンサイエンス)

2. 「翻訳チェックする際の明快な指針を検討する
  ―あったらいいな―翻訳チェックのガイドライン」
【パネリスト】 斎藤 玲子 氏 (日本オラクル株式会社)
        河合 正廣 氏 (YAMAGATA INTECH株式会社)
        田中 千鶴香 氏(技術翻訳者、JTF理事・標準スタイルガイド検討委員長)
【モデレーター】 中村 哲三 氏 (株式会社エレクトロスイスジャパン)

・翻訳者(翻訳会社)は、ガイドラインを守り、誤訳のない高品質な翻訳を納品したつもりだが、クライアントは、自然で流暢な翻訳を求めており納品された翻訳に満足していないなど、翻訳品質に対する認識にギャップが生じる場合がある。このギャップを解消するためには、ニーズ、コンテンツに合わせた翻訳基準を設定することが必要。たとえば、同じマニュアルでも、一般ユーザーの場合と専門ユーザーでは求める翻訳品質が違ってくる。クライアントは、事前にターゲットユーザーやコンテンツの種類などを伝えることが重要。

・チェック割合の固定化は避けるべき。対象のボリュームによって、その都度チェックの割合を決めた方が良い。たとえば、10万ワードなどボリュームが多い場合のフルチェックは工数がかかりすぎ、全体の10% の1万ワードでもある程度の品質がわかってくる場合もある。逆に10ワードなどボリュームが少ない場合は、10% の1ワードでは計れないので、フルチェックが必要となる。ボリュームが少ないほどチェックの割合を増やす必要がある。

・翻訳のフィードバックで、重大なエラー(誤訳により、ユーザーが間違った操作をしてしまい、危害を及ぼす可能性があるなど)は、わずかで、ほとんどがクライアントしか知らない情報に基づく変更や恣意的な変更依頼になっている。このような恣意的なフィードバックを避けるためには、クライアントからの事前の情報出し、一貫性のあるチェック、また修正理由や修正の必要性を伝えることが必要。

・クライアントから多くのフィードバックがきたことがあったが、クライアントと翻訳者が直接会って話しをすることで、フィードバックが減ったケースがあった。

他にも有意義なお話しはたくさんありましたが、参加したセッションで共通していたのが、コミュニケーションの大切さでした。 私たちローカライズ担当者は、開発者と仕様や翻訳に必要な条件などを共有すること。また翻訳会社には、その情報を事前に伝え、疑問などあればフィードバックしてもらうこと。翻訳会社は翻訳者と情報共有するなど、お互いが密にコミュニケーションをとることが、高品質な翻訳につながっていくことを改めて感じました。

2014-12-17 09:00  その他

IJET-25 参加レポート(2)「21世紀に求められる翻訳者の資質とは?」

前回に引き続き、IJETで参加したセッションについて書きます。 第二日目の、「21世紀に求められる翻訳者の資質とは?―さまざまな現場から語る―」では、豊田憲子さん(フェロー・アカデミー講師)、井口耕二さん(実務翻訳者)、高橋裕子さん(津田塾大学学芸学部英文学科教授)が翻訳者に必要な資質について議論されました。その中で、翻訳者に求められる大きな資質の一つとして「日本語力が高いこと」が挙げられていました。では日本語力を高めていくためにはどうしたらよいのでしょうか?セッションでは以下のような意見が交わされていました。

・コミュニケーション力は書く力。書く力は考える力、生きる力。書きながら思考は進む。母語を鍛える。
・書く力を身に付けるには、優れた読み手、アイディアを持って行き改善点などを一緒に考える場所、対話が必要。
・何かを成し遂げるためにどうやって乗り越えるか、その突破力など、様々な人に書く力と結び付けて話してもらう。
・他人の身になって考える力が必要。書き手が誰に何を伝えようとしているかを考えることが大切。
・書く力は翻訳者に限らず必要。大人になってから身に付かないものではない。日本の学校教育では、話は最後まで黙って聞け、作文は思ったことを書けと習う。相手に伝わっているかは教わっていない。どちらも大切で、意識的なトレーニングで身に付ける。
・ディスカッションでまずは声を出す。最初から優秀な意見を出さなくても良い。思っていることと口に出すことのギャップに気づく。繰り返すことで上達していく。相手の意見を聞く大切さを同時に学ぶ。相手が何を望んでいるか先を読むことが大切。

翻訳に限らず、相手を説得するため、納得してもらうためなど、私たちは普段様々な形で「書くこと」をしています。相手に伝わるよう、また相手の立場に立って書くことの大切さを改めて実感した内容でした。

2014-07-16 09:00  その他

IJET-25 参加レポート(1)

今回と次回は二回に渡り、先日ご紹介しました IJETへの参加についてご報告します。
第一日目、基調講演は現在放映中の NHK 連続テレビ小説「花子とアン」の原案「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」の著者、村岡恵理さんが登壇されました。
村岡恵理さんは「赤毛のアン」の翻訳者として有名な村岡花子さんのお孫さんで、「村岡花子-『赤毛のアン』翻訳に託した未来への希望」というタイトルで、村岡花子さんの翻訳者への道のりや「赤毛のアン」との運命的な出会いを、家族ならではのエピソードを交えて講演されました。
村岡花子さんが明治時代に女学校に行き、英語ネイティブ(カナダ人)から直接英語を学べたことは幸運だったと思いますが、学校の図書館で英語の文学を大量に読んで英語力を磨き、日本語の勉強が足りないと歌人で国文学者の佐々木信綱から日本の古典文学を学び、と非常に努力もされたことを知りました。
「赤毛のアン」は、第二次世界大戦が始まる直前に、帰国するカナダ人宣教師より原書の“Anne of Green Gables”を手渡され、出版する当てもないまま防空壕に原稿を避難させつつ翻訳されたそうです。
翻訳には原書の舞台となる国や地域の文化理解が必要ですが、女学校でカナダ人教師にカナダ式の教育を受けた村岡花子さんは、カナダが舞台の“Anne of Green Gables”を翻訳するのは自分の天命と思われたようです。
翻訳本の出版に際し、村岡花子さんは「窓辺に倚る少女」という邦題を考え、出版社から提案された「赤毛のアン」は拒否したそうですが、家に帰って娘さん(恵理さんの母)に話したところ「赤毛のアン」が断然よいと言われ、慌てて出版社に「赤毛のアン」にするよう伝えて印刷に間に合ったそうです。
出版の二か月前まで GHQ が日本を占領していたそうですが、戦後の混乱が続く時代に「赤毛のアン」の翻訳本を出版したのは画期的なことだったと改めて思いました。


基調講演後の最初のセッションは、「スティーブ・ジョブズ I・II」、「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」などの翻訳をされた井口耕二さんの「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」に参加しました。
翻訳者向けのセッションだったため、翻訳者を対象としたアンケート結果をもとに、翻訳単価や年収の分布データの発表、どうしたら収入が上げられるかというような生々しい話や(翻訳スピードが速い人より単価が高い人の方が総収入が高い傾向があるようです)、翻訳会社を通すよりソースクライアントから直接依頼を取った方が単価が高くなる可能性が高い、とか消費税はもらいましょうというような実際的な話がありました。
翻訳を依頼する側の企業としても興味深い話が色々ありましたが、一番印象に残ったのは機械翻訳に関する以下のお話でした:
「80 点の翻訳ができる人が、人間が翻訳した 40 点の翻訳を直しても、80 点まで上げることはできないという感覚を持っている。近頃、機械翻訳を導入している企業は増えており、機械翻訳後の編集の仕事も増えているが、機械翻訳にも同じことが言えると思う。」
次回は第二日目に印象深かった内容について書きます。

2014-07-09 09:00  その他

IJET-25 に参加します!

SDNA ローカライズチームメンバーは 6/21(土)、6/22(日)に、東京ビッグサイトで開催される IJET-25 に参加します。
IJET (International Japanese-English Translation Conference) とは、日本翻訳者協会(JAT)が主催する英日・日英の翻訳者や通訳者向けのイベントで、20~30 のプログラムと様々なネットワーキング・イベントで構成されています。
過去にはハワイ、広島、シアトル、宮崎などで開催されましたが、今年は 25 回目にして初めて東京で開催されるということで、私たちも初めて参加します。
私たちが参加予定のセッションは翻訳業界の未来の話から、PC作業での肩こり腰痛軽減法まで多岐に渡り、今から非常に楽しみです。
もし皆様に会場でお会いできたら、ぜひご挨拶させてください。

IJET-25
http://ijet.jat.org/ja/

2014-06-13 16:00  その他

はじめまして

皆さま、はじめまして
ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社(以下、SDNA)のローカライズチームです。
SDNA はソニー株式会社の 100% 出資子会社で、エレクトロニクス製品を中心としたソフトウェアの企画・開発・商品化を専門に行っています。

その中で私達は、「ローカライズ」という業務を担っています。
「ローカライズ」とは、ある製品の海外版を作るために各地域にあった対応を入れることで、ソフトウェアの場合は製品で表示される文言を現地語にしたり、それぞれの言語の OS 上で問題なく動くような処理を入れたりします。
「翻訳」との違いは、直訳ではなく各地域の文化などに合わせて現地語に置き換える点と、製品で表示される文言以外も「現地化」対応する点です。

英語では “Localization” と言いますが、単語が長いので「L10N」と表記されたりします。(”L” と “N” の間に 10 文字あるため)
私達ローカライズチームは、ソニー製品のローカライズだけでなく、ソニーグループ以外のお客様からもローカライズを請け負っています。

そういった様々なローカライズを行う中で得た知識や問題解決方法などを、今後このブログに書いて行く予定です。
知識を共有することにより、少しでも皆さまのお役に立つことができれば幸いです。
どうぞ宜しくお願いします。
2013-12-18 14:14:00 その他
SDNAのローカライズ
ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社では、その経験と成熟したプロセスを活用し、質の高いローカライズサービスをスピーディーに提供します。

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