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IJET-25 参加レポート(1)

今回と次回は二回に渡り、先日ご紹介しました IJETへの参加についてご報告します。
第一日目、基調講演は現在放映中の NHK 連続テレビ小説「花子とアン」の原案「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」の著者、村岡恵理さんが登壇されました。
村岡恵理さんは「赤毛のアン」の翻訳者として有名な村岡花子さんのお孫さんで、「村岡花子-『赤毛のアン』翻訳に託した未来への希望」というタイトルで、村岡花子さんの翻訳者への道のりや「赤毛のアン」との運命的な出会いを、家族ならではのエピソードを交えて講演されました。
村岡花子さんが明治時代に女学校に行き、英語ネイティブ(カナダ人)から直接英語を学べたことは幸運だったと思いますが、学校の図書館で英語の文学を大量に読んで英語力を磨き、日本語の勉強が足りないと歌人で国文学者の佐々木信綱から日本の古典文学を学び、と非常に努力もされたことを知りました。
「赤毛のアン」は、第二次世界大戦が始まる直前に、帰国するカナダ人宣教師より原書の“Anne of Green Gables”を手渡され、出版する当てもないまま防空壕に原稿を避難させつつ翻訳されたそうです。
翻訳には原書の舞台となる国や地域の文化理解が必要ですが、女学校でカナダ人教師にカナダ式の教育を受けた村岡花子さんは、カナダが舞台の“Anne of Green Gables”を翻訳するのは自分の天命と思われたようです。
翻訳本の出版に際し、村岡花子さんは「窓辺に倚る少女」という邦題を考え、出版社から提案された「赤毛のアン」は拒否したそうですが、家に帰って娘さん(恵理さんの母)に話したところ「赤毛のアン」が断然よいと言われ、慌てて出版社に「赤毛のアン」にするよう伝えて印刷に間に合ったそうです。
出版の二か月前まで GHQ が日本を占領していたそうですが、戦後の混乱が続く時代に「赤毛のアン」の翻訳本を出版したのは画期的なことだったと改めて思いました。


基調講演後の最初のセッションは、「スティーブ・ジョブズ I・II」、「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」などの翻訳をされた井口耕二さんの「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」に参加しました。
翻訳者向けのセッションだったため、翻訳者を対象としたアンケート結果をもとに、翻訳単価や年収の分布データの発表、どうしたら収入が上げられるかというような生々しい話や(翻訳スピードが速い人より単価が高い人の方が総収入が高い傾向があるようです)、翻訳会社を通すよりソースクライアントから直接依頼を取った方が単価が高くなる可能性が高い、とか消費税はもらいましょうというような実際的な話がありました。
翻訳を依頼する側の企業としても興味深い話が色々ありましたが、一番印象に残ったのは機械翻訳に関する以下のお話でした:
「80 点の翻訳ができる人が、人間が翻訳した 40 点の翻訳を直しても、80 点まで上げることはできないという感覚を持っている。近頃、機械翻訳を導入している企業は増えており、機械翻訳後の編集の仕事も増えているが、機械翻訳にも同じことが言えると思う。」
次回は第二日目に印象深かった内容について書きます。

2014-07-09 09:00  その他
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