SONY

「キュート」の英訳は "Cute" でよいか?

撮影した動画や写真を使って自動的にショートムービーを作成するアプリの英語ローカライズを、以前に担当しました。
ユーザーは使用する動画や写真に合ったテンプレートを選択しますが、「ウェディング」というカテゴリーの中にブーケの演出でかわいくまとめた「キュート」という名前のテンプレートがありました。
ネイティブチェック担当者にこのテンプレートは英語版で“Cute”にしてよいか聞いたところ、「”cute”は、否定的な意味で使用される場合もあるので、やめた方がよい。」と言われ、英語版では“Lovely”を使用 することになりました。
英語での“cute”の意味が気になったので、別の英語ネイティブにもう少し詳しく聞いたところ、日本語と同じく「(例えば赤ちゃんや子犬が)かわいい」という意味がある以外に、性的魅力がある男性に対して使われる場合もあるそうです。
英語辞書の Longmanで調べたところ、下記の 3 番のように「抜け目のない」というような意味もあることが分かりました。

Longman の“cute”検索結果:
1. very pretty or attractive
2. especially American English sexually attractive
3. especially American English clever in a way that can seem rude

多くの英単語が日本語にカタカナで取り入れられていますが、英訳する場合は両言語で同じ意味なのか、確認することの重要性を改めて感じた一件でした。
2014-07-30 09:00  英訳知識

二つの表記体系がある言語

セルビア語には、ラテン文字とキリル文字の二つの表記体系があります。と言っても、セルビア語自体、馴染みがない方も多いとは思いますが・・・今回、少し説明させていただきます。

セルビア語では、ラテン文字とキリル文字の二つの文字が使用されています。ただ、同じ文章内でラテン文字とキリル文字が混用されるのではなく、どちらか一方で表記します。
日本語のように、同じ文章中で漢字、ひらがな、カタカナが使い分けられているのとは違うんですね。
現在、ラテン文字とキリル文字は、どちらも普通に使用されており、どちらが主流かは用途などによっても違うようです。
また表記の違いとなり、文法的な違いなどはありません。
単語で例を挙げると、たとえば「セルビア語」の訳語は以下のようになります。

英語:Serbian
セルビア語(ラテン文字):srpski
セルビア語(キリル文字):српски

単語の表記だけで見ると、たとえば日本語の「いちご」と「イチゴ」の表記の違いのような感じでしょうか。
ただ文字によっては、キリル文字1文字をラテン文字2文字で表すものもあります。

ちなみに、現在のWindows の言語の表示形式では、セルビア語の場合、ラテン文字、キリル文字どちらも選択できます。
また、Facebook のセルビア語は、現状、キリル文字の表示になっています。

セルビア語同様、ボスニア語もラテン文字とキリル文字の二つの表記体系があります。
そのため、これらの言語のローカライズでは、どちらの表記にするかを指定する必要があります。
2014-07-23 09:00  ローカライズ業界知識

IJET-25 参加レポート(2)「21世紀に求められる翻訳者の資質とは?」

前回に引き続き、IJETで参加したセッションについて書きます。 第二日目の、「21世紀に求められる翻訳者の資質とは?―さまざまな現場から語る―」では、豊田憲子さん(フェロー・アカデミー講師)、井口耕二さん(実務翻訳者)、高橋裕子さん(津田塾大学学芸学部英文学科教授)が翻訳者に必要な資質について議論されました。その中で、翻訳者に求められる大きな資質の一つとして「日本語力が高いこと」が挙げられていました。では日本語力を高めていくためにはどうしたらよいのでしょうか?セッションでは以下のような意見が交わされていました。

・コミュニケーション力は書く力。書く力は考える力、生きる力。書きながら思考は進む。母語を鍛える。
・書く力を身に付けるには、優れた読み手、アイディアを持って行き改善点などを一緒に考える場所、対話が必要。
・何かを成し遂げるためにどうやって乗り越えるか、その突破力など、様々な人に書く力と結び付けて話してもらう。
・他人の身になって考える力が必要。書き手が誰に何を伝えようとしているかを考えることが大切。
・書く力は翻訳者に限らず必要。大人になってから身に付かないものではない。日本の学校教育では、話は最後まで黙って聞け、作文は思ったことを書けと習う。相手に伝わっているかは教わっていない。どちらも大切で、意識的なトレーニングで身に付ける。
・ディスカッションでまずは声を出す。最初から優秀な意見を出さなくても良い。思っていることと口に出すことのギャップに気づく。繰り返すことで上達していく。相手の意見を聞く大切さを同時に学ぶ。相手が何を望んでいるか先を読むことが大切。

翻訳に限らず、相手を説得するため、納得してもらうためなど、私たちは普段様々な形で「書くこと」をしています。相手に伝わるよう、また相手の立場に立って書くことの大切さを改めて実感した内容でした。

2014-07-16 09:00  その他

IJET-25 参加レポート(1)

今回と次回は二回に渡り、先日ご紹介しました IJETへの参加についてご報告します。
第一日目、基調講演は現在放映中の NHK 連続テレビ小説「花子とアン」の原案「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」の著者、村岡恵理さんが登壇されました。
村岡恵理さんは「赤毛のアン」の翻訳者として有名な村岡花子さんのお孫さんで、「村岡花子-『赤毛のアン』翻訳に託した未来への希望」というタイトルで、村岡花子さんの翻訳者への道のりや「赤毛のアン」との運命的な出会いを、家族ならではのエピソードを交えて講演されました。
村岡花子さんが明治時代に女学校に行き、英語ネイティブ(カナダ人)から直接英語を学べたことは幸運だったと思いますが、学校の図書館で英語の文学を大量に読んで英語力を磨き、日本語の勉強が足りないと歌人で国文学者の佐々木信綱から日本の古典文学を学び、と非常に努力もされたことを知りました。
「赤毛のアン」は、第二次世界大戦が始まる直前に、帰国するカナダ人宣教師より原書の“Anne of Green Gables”を手渡され、出版する当てもないまま防空壕に原稿を避難させつつ翻訳されたそうです。
翻訳には原書の舞台となる国や地域の文化理解が必要ですが、女学校でカナダ人教師にカナダ式の教育を受けた村岡花子さんは、カナダが舞台の“Anne of Green Gables”を翻訳するのは自分の天命と思われたようです。
翻訳本の出版に際し、村岡花子さんは「窓辺に倚る少女」という邦題を考え、出版社から提案された「赤毛のアン」は拒否したそうですが、家に帰って娘さん(恵理さんの母)に話したところ「赤毛のアン」が断然よいと言われ、慌てて出版社に「赤毛のアン」にするよう伝えて印刷に間に合ったそうです。
出版の二か月前まで GHQ が日本を占領していたそうですが、戦後の混乱が続く時代に「赤毛のアン」の翻訳本を出版したのは画期的なことだったと改めて思いました。


基調講演後の最初のセッションは、「スティーブ・ジョブズ I・II」、「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」などの翻訳をされた井口耕二さんの「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」に参加しました。
翻訳者向けのセッションだったため、翻訳者を対象としたアンケート結果をもとに、翻訳単価や年収の分布データの発表、どうしたら収入が上げられるかというような生々しい話や(翻訳スピードが速い人より単価が高い人の方が総収入が高い傾向があるようです)、翻訳会社を通すよりソースクライアントから直接依頼を取った方が単価が高くなる可能性が高い、とか消費税はもらいましょうというような実際的な話がありました。
翻訳を依頼する側の企業としても興味深い話が色々ありましたが、一番印象に残ったのは機械翻訳に関する以下のお話でした:
「80 点の翻訳ができる人が、人間が翻訳した 40 点の翻訳を直しても、80 点まで上げることはできないという感覚を持っている。近頃、機械翻訳を導入している企業は増えており、機械翻訳後の編集の仕事も増えているが、機械翻訳にも同じことが言えると思う。」
次回は第二日目に印象深かった内容について書きます。

2014-07-09 09:00  その他

ハイフンを使って文の構造をわかりやすく

次の例文に含まれる、「24 ビット」や「16 ビット」の英訳に注目してください。

<日本語>
現在編集を行っているプロジェクトのサンプリングビット数は 24 ビットに設定されているため、16 ビット録音のみが行えるマイク端子、ライン入力端子を使用しての録音は行えません。

<英語>
Cannot start recording because the bit depth of the current project is set to 24 bits, but the MIC and LINE IN inputs support only 16-bit recording.

「24 ビット」「16 ビット」ともに 2 以上の数に言及していますが、表記はそれぞれ“24 bits”と“16-bit”と異なっています。

“24 bits”の“bits”は“bit”の複数形であり、“16-bit”の“bit”は数と単位をハイフンでつないだ複合形容詞の一部です。複合形容詞の一部として使われている単位“bit”は複数形にはなりません。

複合形容詞といえば、“He has a sixty-year-old mother.”のような例文で習った方も多いのではないかと思います。“She is sixty years old.”という文の“years”が名詞の複数形であるのに対し、“sixty-year-old”の“year”は複合形容詞の一部なので“years”と複数形にはなりません。
複合形容詞として“sixty-year-old”と“16-bit”はそれぞれ後に続く“mother”、“recording”を修飾しています。

ちなみに「ビット」を形容詞的に使った表現として、“a 64 bit machine”というようにハイフンを用いない文言も見かけます。広く一般的に使われる複合語の中には、ハイフンでつながなくても意味的に誤解を生じないとみなされるものがあり、“bit”に関してもハイフンでつながずに形容詞として使うことが許容されているようです。

この例からもわかるように、ハイフンに関する絶対的な不変のルールがあるわけではありません。英訳時には、参照すべきスタイルガイドなどにハイフンについての規定があれば、それに合わせ、特に規定がない場合には、少なくとも文書内での表記方法を統一することが大切となります。

2014-07-02 09:00  英訳知識
SDNAのローカライズ
ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社では、その経験と成熟したプロセスを活用し、質の高いローカライズサービスをスピーディーに提供します。

カテゴリー
アーカイブ
各言語の用法に関するブログ内容は 複数の説や見解が存在する場合もありますので あくまでも見解の一つとしてお読みください。

商標についてSONY、Handycam、BRAVIA、WALKMAN、VAIO、Cyber-shot、α、その他のソニー製品の商品名・サービス名はソニー株式会社の登録商標または商標です。なお、本文中ではTM、®マークは明記していません。